日日是好日~税務にまつわる日々の記録〜

税理士試験と税務実務とそれにまつわることを徒然なるままに書いていくブログ

ブックレビュー4~『東大生となった君へ 真のエリートへの道』~

読んだ新刊が良い本でしたので紹介します。

 

東大生となった君へ 真のエリートへの道 (光文社新書)

東大生となった君へ 真のエリートへの道 (光文社新書)

 

 東大生という、特定の対象に向けたタイトルとなっていますが、その中身は東大生に限らず、全世代の読者に向けて書かれた内容です。

 

著者の田坂氏も東大出身。タイトルを東大生と限定しているのは、著者の意向というよりも、内容の印象付けのためでしょう。

 

というのも、内容を読めば分かりますが、難関受験をくぐり抜けてきた東大生の「出鼻を挫く」内容だからです。

 

何といっても、帯の文章も「東大卒の半分が失業する時代が来る。」と謳われているくらいですから。

 

本文ではAI、人工知能の話が出てきます。東大生が受験を通じて培ってきた「専門的知識」や「論理的思考力」は、いずれ人工知能によって取って代わられ、これからの時代においては東大生であっても活躍できない時代が来るという警鐘を鳴らしています。

 

では、そうならないために、これからどのような能力を身につけていけば良いのか。

 

田坂氏はその能力として「職業的能力」「対人的能力」「組織的能力」の3つを挙げています。

 

詳しくは本書に譲りますが、どれも大学受験や資格試験では身に付かない知性的な能力であり、人工知能に対抗でき得る能力です。

 

田坂氏の本は税理士業務に携わり始めたころに知りました。人工知能の到来が叫ばれている今、見過ごせない課題ではないかと思います。

 

特に、本書をブログで取り上げようと思ったのは、東京の税理士会から人工知能の到来により税理士の仕事の半分は無くなると考えている、今後どのような能力を身に付けていけば良いのか講演をしていただけないかという田坂氏への依頼があり、これに田坂氏が感銘を受けたという一節があったからです。

 

税理士業界では人工知能の到来について危機感はありますが、その反動からか妙な楽観論もあり、どちらも違うと考えているところでしたが、具体的にどう対策をしていけば良いのかというビジョンについて明確に語られているところが少ないというのが実情かと思います。

 

そういう意味では、本書は具体的にどこに向かえば良いのかを示してくれるのではないかと思います。

 

税理士のなかには、これからはかなり勉強しないと人工知能に対抗できないとかなりの危機感を持っておられる方も存じ上げておりますが、大事なのは努力や工夫の方向性でしょうね。いわゆる、受験勉強や難関資格試験の勉強をするという従来の努力で成り立っていた「学歴社会」は人工知能の到来によって崩壊するのかもしれません。