ブックレビュー3~『緊張をとる』
休みの日に一気に読んで面白かったので紹介したいと思います。
伊藤丈恭著『緊張をとる』です。
本屋でたまたま目にし、帯に書かれた『なぜ俳優は舞台で緊張しないのか?』という文言に牽かれて手に取ってしまいました。
読んでみて、久しぶりにこれは「当たり」の本でした。
二人対話形式で読み進める本で、主人公である真面目な会社社員が社内のプレゼンに成功し意中の先輩女性に告白するために、大阪弁のスナックのママから緊張のとりかたを演劇的アプローチから伝授してもらうという筋書き。
印象に残った言葉やフレーズを挙げると、
「成長は三歩進んで二歩下がる」
「瞬間的緊張と慢性的緊張」
「二段階思考」
「最初の行動の段階で否定しない」
「やり過ぎから入り、後で調整」
「質より量から入り、ゆっくり量より質に移っていく」
「集中とリラクゼーションは深い関係にある」
「ポジティブはネガティブ要素で構成されている」
等々
詳細は本書を読んで頂くのが一番ですので省きますが、全体で言いたいことの本質は「焦らない、背伸びしない」ということ。
大きな目標のために失敗を繰り返す。それもわざと繰り返す。
あらゆる躊躇をとり、やり過ぎることで表現の器を造る。
失敗を繰り返して自己想定内にしてしまう。
目標自体はポジティブ思考ですが、辿るプロセスは物凄くネガティブ。
ネガティブのない単なるポジティブ思考(本書では三流のポジティブ、略して三ポジ)は失敗しやすく、あまり信用出来るものではないのだとか。
演劇の話だけでなく、一般人の日常生活の修養にまで通ずるような考え方も紹介されています。
大阪弁でしゃべる元天才美人女優のスナックのママさんの会話を読んでいるだけで緊張が抜けていくような面白さ。
一読をおすすめします。